2018年9月28日、仕事が半年に1回の棚卸しで早く終わったのでTOHOシネマズ小田原に公開初日の【散り椿】を鑑賞してきました。

残念だったのは希望していた上映回に間に合わずハシゴができなかったこと……土日にフリクリ観る時リベンジすることにしよう。

 

それでは感想です。

 

圧倒的な画作り……なんだけど

予告の段階からひしひしと感じたのが【画面の持つ圧倒的な力】……全てのシーンに存在感が溢れ、作り物感がまるでありません。CGでなんでもカタをつけようとする今時の映画に真っ向から逆らった本物だけが持つ説得力を見せつけてきます。

 

だからこそ残念に思うのが画面のサイズ。元々時代劇ってスクリーンの比率が極端に横に広いイメージがあるんですけど今作は普通の映画より狭いビスタサイズ。画面の力が強い分、よりいっそう画面の幅の狭さが気になってしまいました。

 

なんでこんなサイズで公開したんだろう?望遠レンズを利用した多重撮影の関係で画面内に他の機材を映さないための配慮なのかなぁ?……どちらにせよ魅力半減で作品の完成度を大きく減点しています。

 

岡田准一

もうすっかり俳優としての地位を不動のものにしている岡田氏ですが、この作品でまた新たな代表作を持ちましたね。小手先の演技ではなく佇まいや本人から発せられる空気みたいなものまで含めて文句のつけようがありません。

 

逆に言ってしまうと、今の時代この役者以外にこの役できる人いるの?とか思ってしまいます。特に早くしなやかなのに地に足の着いた重量感ある殺陣は絶品です。ただ、ここにちょっとしたマイナスポイントもあるのですがそれは後で。

 

池松壮亮

逆にちょっと違和感を感じてしまうのが池松壮亮氏の演技。おそらく見る人が見れば【素晴らしい演技】と絶賛するのでしょうが、自分のような素人の観る限りでは【棒読みじゃね?】とか【ここはどういった演技プランなんだろ?】……はたまた【ズラ似合わなくね?】とか思ってしまいます。

 

いえ、最後の疑問に関しては確信だと断言できるのですがw

 

殺陣

この静かで美しい映画の中で、動きで鮮やかに光るシーン(血しぶき)。

 

とにかく岡田氏の見せる殺陣が黒田鉄山先生の動画を見るような説得力のある歩法や術理に基づいた動きに感動します。ここで残念なのが彼が凄すぎて他の者達が雑魚っぽく感じてしまうこと。元々剣での戦いなので【1回切られたら終わり】という関係上、新兵衛が無双することになるのですが、殺陣の完成度の時点で実力差が見えてしまい新兵衛がピンチになる姿が想像できないのです。

 

実際、無傷で乗り切ったしね。

 

また、同じ四天王である榊原薇采女の西島秀俊氏のラストの殴り込みシーンでは動きそのものよりもケレン味中心の見せ方をしていました。無造作に切り払ったり、敵の眼前で止めた切っ先をそのまま突き入れたりする描写はゾクゾクするのですが、説得力よりハッタリ重視という風にも感じます。

 

もっと殺陣に強い役者がいたら演出自体変わっていたのかもしれませんね。

 

ちなみに、そんな実力者たちでも飛び道具には負けてしまうのがリアリティはあるかもしれないけど剣術の幻想をぶち壊す残念な部分でもあります。

 

この映画の話は難解?

この映画の感想で【話がわかりづらい】という意見を聞くのですが、それほど難しかったかなぁ?原作小説は未読だったけど充分話は伝わりましたよ。

時間軸が過去の回想シーンになる場面でも1回のエピソードごとに本筋の時間軸に戻ってストーリーが展開していくので時制が入れ子状態になりがちな作品よりずっとシンプルだと思うのですが。

最近のアニメなんかだと時制が複雑なものが多く、それに慣れた結果として時系列の把握を苦にしなくなったのかもしれませんね。

 

ただ、【単純に話が通じない】という意見を聞くと、この時代の名前に耳が慣れておらず、会話のシーンで誰が誰だか分からなくなるんじゃない?と思いました。

 

ここら辺は時代劇や時代小説で慣れていないと難しいからなぁ。自分も知識にない海外の歴史映画の大作とか見ると登場人物の顔と名前が一致しなくなりますので仕方のないことかもしれませんね。

 

総評

65/100点。序盤静かすぎて少し退屈かもしれないけど画の美しさや終盤の展開で作品を描ききっています。

 

それだけにビスタサイズが残念です。特に自分の鑑賞したTOHOシネマズ小田原では画面に合わせた目隠しカーテンの調整は行われないので余計に場面の狭さが気になります。

 

たぶんフルサイズのIMAXスクリーンで観ることができたらもうプラス10点付けられますよ。