鑑賞情報

2019年 7月20日 09:00〜

TOHOシネマズ小田原 スクリーン1

L-18

 

ワイにできることはまだあるかい?

ボブにできることはまだあるかい?

……ということで、この夏最大の話題作(だと思っている)天気の子、感想です。

安易なハッピーエンドでなくてよかった

……いえ、前作【君の名は。】も、よくよく考えたら隕石の落下で故郷が壊滅してしまうので内容的にはハッピーエンドとは程遠いのですが、死んでしまう未来を回避することが出来たという比較のお陰でハッピーエンドとして成立しています。

 

今作の場合、大切な人とはいえたった一人(しかも人柱となる運命をもった少女)を助けた結果、東京都民を中心に日本中に深刻な被害をもたらすことになってしまって、とてもじゃないけど【ハッピーエンド】と言い切れない状況になってしまいました。

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ここらへんは、ちょっとニュアンスが異なるけれど【もののけ姫】のような感想を持ちますね。神殺しや、ハッピーエンドに見せかけて、結局サンといっしょに暮らさないアシタカとかね。ラスト体に刻まれた傷もスティグマータとして見ると同一の印象を受けます。

一応、エンターテイメント作品として仕上げてはいるけど、簡単に楽しんでいいという内容から遠ざかっていることで、【いつもの新海誠が戻ってきた!】と拍手喝采したくなります。

 

SF or ファンタジー

逆に、前作の世界観と比べた時のイメージで被るのが【この作品はSFなのか?ファンタジーなのか?】と迷ってしまう部分。

前作はSFの設定も考慮したファンタジーでしたけど、みなさんは今作をどう捉えました?

私としては現実的な設定を折り込みつつも、リアリティというだけでSF要素はあまり感じませんでした。作中、天気について祀った神社の神主さんとの会話で【現在の気象に関するデータは地球的に見れば僅かな間の情報にすぎない】と語られた部分に設定の片鱗を感じましたがサイエンス・フィクションと呼ぶにはちょい弱い。

この辺の描写具合が今作を現実っぽく見せていると思うんですけど、その割にメインキャラですら即物的だったり、設定がマンガっぽかったりで逆にリアリティを削いでいるんですよね。

 

バランス感を考えたけど、結局どっちつかずになってしまった感じなのは色々と惜しいです。個人的にはもっとエンターテイメントを考えた描写に合わせた展開に振っても良かったと思うけど、これ以上万人向けにしたらそれこそ【君の名は。】になっちゃいそうなのでこれぐらいが正解だったのかなぁ?

 

ルック

あいかわらず背景は圧倒的にキレイ。

ただ、キャラクター自体はよりエンタメ寄りなのでちょいと違和感があるかも。キャラの解像度も【言の葉の庭】位まで上げるか、風景の方を【君の名は。】位で抑えるかして画面の統一感を図るべきだと思います。

 

この背景が新海誠作品のキモなので、次回作は別のキャラクターデザインにするのもいいかもしれませんね。監督の原点ということで、美少女ゲーム的な色付けしたら新たな信者ができそうですw

 

隠れキャラ

瀧くんの登場はちょっと露骨過ぎやしませんかね?彼が出た時点で三葉の登場も期待してしまうし、【君の名は。と同じ世界の話なのか?】と思わせつつも、結局ラストのイベント後の内容を考えると色々と矛盾点が出てしまいモヤモヤが残ります。

 

この世界線だと瀧と三葉の再会は雨の中になっちゃいますよ。

 

その他の登場人物は基本隠れキャラ。勝手にモブキャラに注目していたので初見で発見できたのは奇跡でした。

 

ところで、次回作も前作(天気の子)のキャラが登場したりするんですかね?個人的には年齢を重ねてモテ要素の失くなった凪先輩を見たいんですけど、認識できないほどキャラを変えたら隠れキャラの意味は無いから更にモテまくる未来しかないかもしれませんね。

 

総評

70/100点。観て良かったとは思うんだけど、君の名は。ほど【ささらない】作品。

個人的には次回作は現実感のないSFやファンタジー作品が来ると嬉しいんですけどどうでしょうかね?

 

あと、最初からある程度の興行収入が見込めたからなのは分かるんですけど、コレクションのためにもムビチケは販売してほしかったなぁ。