鑑賞情報

2019 08/11 9:50〜

TOHOシネマズシャンテ シャンテ3

K-10

 

前提としてのレッドフォード

名優ロバート・レッドフォードの引退作品ということで鑑賞したのですが、ルックや間の撮り方、空気など、どれを取ってもロバート・レッドフォードの作品……それも引退作品だからこそ成立させることのできた作品だと思います。

……というか、こんな映画を成立させられる役者が他にいるのでしょうか?

年齢やキャリア、実際にあった犯罪を元ネタとした映画ということで先ごろ上映したクリント・イーストウッドの【運び屋】も思い浮かびますが、それぞれの映画の役者が逆になったら途端に違和感のある作品になりそうですからね。

 

まさしく、ロバート・レッドフォードにふさわしい映画ではないでしょうか?

 

タイトル

邦題は【さらば愛しきアウトロー】ですが、原題は【The Old Man & the Gun(老人と銃)】でヘミングウェイの【The Old Man and the  Sea(老人と海)】を意識したタイトルです。

 

まぁ自分は文学青年というわけではないので【老人と海】に関しては釣りキチ三平のブルーマーリン編の元ネタの一つ(釣ったカジキが大きすぎて船に乗らないので引っ張って帰るんだけどサメに食べられてしまう)くらいしか印象にないんですけど、世界的大ベストセラーに準えたタイトルということで【老いてからも決して変えられない生き方】をテーマにしているのだと思います。

 

ただ、日本語タイトルをそのまんま【老人と銃】にしては、さすがに印象が悪いという判断での邦題ではないでしょうか?ヘミングウェイに準えないと、主人公は銃を使わないのでイメージがブレますからね。

 

【アウトロー】という言葉に多少の違和感は残りますが、このタイトルは作品の邦題というより、この作品をもって役者を引退するロバート・レッドフォード自身に向けて付けられたタイトルなのではないでしょうか?

 

さらば愛しきアウトロー

 

……ロバート・レッドフォードを見送るのにふさわしいタイトルだと思います。

 

次作への期待

この映画の冒頭で【THIS STORY IS, ALSO, MOSTLY TRUE.】(これもまた真実の物語です)というテロップが入っていました。

 

この言葉はロバート・レッドフォードを一躍有名俳優に押し上げた、名作【明日に向かって撃て!】の冒頭に出てくる【MOST OF WHAT FOLLOWS IS TRUE.】(ほとんど真実の物語です)の引用です。

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この映画には他にもレッドフォードンの過去作品のオマージュが溢れているので一番最初のテロップを忘れてしまいそうになりますが、何度も捕まって脱走しても、結局銀行強盗を繰り返してしまう主人公の【楽して生きるより、楽しんで生きたい】という生き様について語っているテロップなのだとしたら、引退宣言を出したとしても再び映画界に戻ってくるかもしれないということの証明なのではないでしょうか?

 

社会的にも経済的にも成功して、もう楽をして生きていけるけど再び映画に戻ってくる……そんなメッセージが込められているのだとしたら嬉しいなぁ。

 

総評

72/100点。現代の作品に比べれば時間の流れもゆったりですけれど、劇場で観ておいて損はない作品です。

ロバート・レッドフォードの過去作品を知っているほど、より楽しめるのでリアルタイムでファンだった年代を考えると推奨年齢は60歳以上……この作品を鑑賞する映画ファンは基本的にシニア割引が適用されている方かもしれませんねw

 

ただ、作品単体で考えるとNetflixで公開している【夜が明けるまで】が素晴らしすぎるので、ちょっと点数は控えめです。作品そのもので完結している作品の方が、どうしても評価は高くなりますからね。