20108年10月28日、TOHOシネマズ海老名で【search/サーチ】を鑑賞しました。

……ちょっと冷静になれない位凄いものを見てしまったかもしれません。今まで体験したことのない作品に触れられると素直に感動してしまいます。

 

それでは感想です。

 

今回の感想はいつも以上にネタバレありなので必ず一度鑑賞された方だけ御覧ください。

 

全てPCの画面で展開するストーリー

 

この作品の最大の特徴であり最大の発明でもあるのが【映画の内容の全てがパソコンの画面上で展開する】という斬新なアイデアです。このストーリーを考えついて実現させた時点でこの作品の成功は約束されたのではないでしょうか?

 

残念なのはPC画面上でのストーリー展開に固執するあまり多少強引な展開が見られる部分。

 

それでも、この新しいアイデアの前には瑣末な欠点でしょう。

 

PC  、SNSあるあるを楽しむ

 

ただ、PCやSNS(ストリーミング)を利用しての検索やコミュニケーションをネタにしているので、こういった技術を知らないことには話が通じない作品です。作品内での主人公のデビッドはIT企業で在宅で仕事をしているようなので、かなりそういったツールの使い方に精通しています。

この作品を楽しむには、最低でも日常的にtwitterでつぶやいたりネット上での繋がりのある人にリアクションを返していないと理解できないでしょう。

 

また、最近の日本の若者(オッサン臭い発言だなぁw)のように全てのネットコミュニケーションをスマホで完結させている層にも却って理解できないのかもしれません。

 

この作品を楽しめるのはインターネットが一般化して、今日のSNS時代まで順を追って使用している20代後半から50代までの人かもしれませんね。個人的には傑作だとは思いますが、流石に自分のスマホを所有していない父にはオススメできません。

 

それにしても映画の最初がPCを初めて立ち上げるシーンなのが面白いです。昔からネットに接続している人ならダイヤルアップ接続の音や古いWindows(多分XP)の壁紙の丘の時点で笑えてきます。

 

Windows XP の時点で17年前……やっぱり主人公と同じ年代でPCに触れてきた人にこそ楽しめる作品ですね。

 

ストーリーの芯にPCを用いることの利点

 

この作品、アイデア一発勝負みたいな想像をされる方もいるかもしれませんが、【PCの画面上で展開される】という時点でストーリーの収束を強固にして物語の結末に向けてすべての謎がラストシーンに向けて進んでいくという利点があります。

時系列の前後はほとんど無く順番に進行しているので話を理解しやすく、過去のシーンを思い返して現在の【気付き】とデスクトップ上で無理なく比較できるのも観客の記憶力に頼らずに事前のネタフリと答え合わせをスムーズに繋げる秀逸なテクニックだと思います。

 

あと、地味に凄いのが文字入力のスピードや迷いでも演技をしている点。入力途中の予測入力にも意味や意思を感じられます。

 

ソフト版発売時の提案

 

少しだけ残念に感じた演出。PCの画面上で展開するといっても任意のウインドウに焦点があってクローズアップするのは分かりやすいけど映画化に際して観客に分かりやすくするための妥協点のように感じられました。

 

もしかしたらこの作品、映画館のスクリーンではなくNetflixなどの動画サイトでフルスクリーンで視聴した方が感情移入できるんじゃないですかねぇ?

 

Blu-ray発売時には画面上で個別ウインドウのクローズアップなどをせずに【PCでフルスクリーンで視聴した際に最適化】というバージョンを同時収録して欲しいです。

 

個人的にはPCをシャットダウンするラストにもう1カット加えてほしかったです。

 

PCの画面右側に常にFaceTime用のカメラ画像が表示されているじゃないですか?

 

画面が黒くなった際にPCに向き合うデビッドの顔が映り込むという演出です。

 

これがあることによってストーリーはPCの画面上で展開されていたとしても、そこに向き合っていた人が実際にいたという証明になると思うのです。

 

ここまでやっていたらこの作品を2018年暫定ナンバーワンにしたんだけどなぁ。

 

総評

80/100点。ある程度ネットの知識がある方なら、この位の点数をつけるでしょう。

逆にネットでのコミュニケーションに縁のない方ならやっていることがチンプンカンプンで点数をつけられるほど理解できないでしょう。

 

人を選びはしますが刺さる人には深く突き刺さる傑作だと思います。ただ、スクリーンで観ることが必ずしもウリにはならないので無理して劇場に行かずにレンタルで楽しむのもアリです。

 

……ちなみに、今後このスタイルの映画が乱発される可能性はありますが、相当ストーリーを練らなければこの作品を超えるのは難しいでしょう。

この演出を発展させた作品の登場を願っています!

 

あと、パンフレットが素晴らしい出来なので鑑賞された方は売り切れ前に購入することをオススメしますよ!