2018年10月20日、TOHOシネマズ小田原にて【億男】を鑑賞しました。
なんか予想より興行成績は振るわないようですし、ネットでの反応も賛否両論でイマイチパッとしない状況のようですが、自分はかなり楽しませてもらいました。
それでは感想です。
原作とは異なる味付け
映画化する際【原作アリ】の作品は色々と考えなければいけない部分があります。
原作をそのまま映像化。
原作の設定だけ使用して映像化。
原作のタイトルだけ使用してでっち上げる(笑)……etc
この作品の場合は【原作の設定を使用しつつアレンジ、エッセンスは残す】といった感じでしょうか?
細部の変更点はありますが、映像化に際して違和感のないアレンジになっているのではないでしょうか?
設定変更の細かいツッコミ
ただ、【ちょっとおかしいなぁ?】と感じた設定の変更点もあります。
主人公【一男】の3000万円の負債が弟の借金→兄の借金に変更されています。一男のビジュアルや立ち位置が九十九に対して【弟っぽい】からという理由からなのでしょうか?劇中で色々な人たちから助言を受けるので年下ポジションっぽいイメージを持たせたかったから?
でも、弟に【一男】って命名はないんじゃないかな?メジャーリーガーのイチローが【次男だけど一郎】でネタにされていましたが、それくらいありえないネーミングセンスだと思うのです。
まぁ、どうでもいい設定変更なんですけど気になったのでw
三人のキーマン
この作品には一男にお金について語る存在が三人出てきます。
一人目の百瀬栄一はビジュアル以外は原作通り。キャラクターの味付けが面白いw
二人目の安田十和子は【結婚相手がタンス預金(10億円)に気付いているけどだまっている】という部分はオミットされていますが、映画を見ていると【でもダンナはこの金の存在に気付いていないフリをしているんだろうな】という予感させるので重要部分ながら大胆なカットだと思います。
三人目の千住清人は……w
大友克洋のAKIRAの漫画版と劇場版における教祖ミヤコのような改変ですね。藤原竜也氏に似合うキャラ付けはこっちで正解でしょう。
自己啓発要素の低下とストーリー要素の上昇
まぁ、細かな変更点は置いておいて、原作小説から映画になって最も変わったのは自己啓発本っぽさ(説教臭さ)を減らしてキチンと物語を追えるようになっていること。
万左子の言葉とか原作小説読んでいて【意識高い系に読ませるカリスマ経営者のビジネス書かよ】とか思っていたので、馴れ初めや説教が大幅にカットされたのはテンポ良いなと思いました。
小説では章立てで構成するだけで説明不要にできる場面展開を大した説明もなしに違和感なく行っているのはかなり脚本を詰めているなと感じさせてくれました。
映画オリジナルのナビゲーター役にあきらを設定したのも受け身キャラの一男をスムーズに動かすのに効果的でした。
……多分、映画を観てから小説読むと印象が変わるんだろうなぁ。
総評
78/100点。80点超えても良かったんだけど、一男と九十九のキャスティングに別の可能性もあったんじゃないかな?と思い、少しだけ減点しました。
ただ、作品としては相当良かったのでソフト化の際は必ず購入します。
できれば劇場でも、もう一回観たいなぁ。