2018年7月16日の映画鑑賞2本目【バトル・オブ・ザ・セクシーズ】感想です。

バトル・オブ・ザ・セクシーズ パンフレット

公開規模が小さく近所で公開していなかったので観るのが遅れてしまいましたが、最近外れた試しのないFOX作品ということもあって鑑賞することだけは決定事項でした。

質感が凄い!

ストーリーだ、構成だ、ととやかく言う前に画面を覆い尽くすザラつきとヌメッとした艶やかさに圧倒されます。……これ、最近の映画で見かけなくなったフィルムの質感だ!

そこそこ大きめの劇場では毎朝【午前十時の映画祭】という古い名作の上映を行っていますが、デジタルリマスターなどで妙にギトギトした画面になっている作品も多いんですよね……デジタルの弊害ってヤツで。

この映画は新しい作品なのに、昔見た映画の質感を再現していました。劇中の時代は70年代なのですが、舞台セットやキャラクターを見る前に画風から当時の空気感を味わえるのが凄いです。

 

性差別問題はスタート地点かもしれないけどゴールではない

賞金の改善を求めて男性対女性の試合を行うことになったのがこの物語のスタート地点ではありますが、差別の撤回がゴール(目的地)なのか?と問われると少々疑問が残ります。

地位向上、権利の主張は間違いないのですが、【女性の】というより【自身の】為に戦っているように見えるのです。

ビリー・ジーン・キングは女性テニスプレイヤーのトップという立場から、結果として【女性の代表】という立ち位置で試合やその後の活動をすることになったけど、【コートでは だれも ひとりひとりきり】ですからね。

 

しかし【私の愛も 私の苦しみも だれもわかってくれない】か……エースをねらえ!の中でエピソードが語られたことといい、この曲とビリー・ジーン・キングの親和性高いですね。

 

語られていない現実

この映画は登場人物のその後についてサラッと語っていますが、詳しく書くことが憚られるような訴訟問題→レズビアンのカミングアウトなんかもあって結構波乱万丈です。

そのことについて触れていない今作はスマートに纏めたと見るべきなのかヌルい昨品なのか……評価が別れる所です。

実際にあった出来事の映画化には常にこの問題がつきまといますね。

個人的にはハクソー・リッジの主人公がアメリカに帰国してからの人生が【映画で語られなかった真実】で凄みを感じた作品です。

 

総評

75/100点。

劇場で観られて良かった……レンタルならともかく題材の地味さにソフトの購入には踏み切りづらい作品ですからね

あと毎回購入している自分にとっては大切なことなのですが、FOX映画のパンフレットの充実度はいつ見ても素晴らしいです。10ページくらいグリビズビー・ベアに分けてやって欲しいくらいです。