鑑賞情報

2022年1月4日 11:40〜

あつぎのえいがかんkiki スクリーン3

C-10

 

2022年3本目。昨年、行きつけのTOHOシネマズ小田原で公開日から上映していたというのに油断したらあっという間に上映終了してしまった作品です。ムビチケを無駄にしたと思っていた作品だったので無事鑑賞することができてうれしいです。

さすがkiki、これがあるから助かります。しかも8日の土曜日には主演の寺田 農さんと金子修介監督を招いて舞台挨拶を行うそうです。何なんだこの映画館w

それでは感想です。ネタバリはありますが、そこまで隠さないと困るような内容でもないと

信虎 パンフレット

信玄ではなく信虎

 

今作は武田信玄生誕450年記念作品ということもるので、映画にするのであれば信玄ですよね?

その父親の信虎というと甲斐を統一するも息子に追放された人物なので信玄とは反目していたのにメインに据えるというのはちょっと変化球すぎるというか魔球ですよねw

まぁ、室町時代後期(=戦国時代)の甲斐武田家は信虎がいたからこそ名を知られるようになったわけですし、戦国大名として有名すぎる信玄を題材にするとなるとスケールが大きくなりすぎてしまうので、信虎……しかも武田家滅亡前で身軽になった頃の人物を主役にするのは面白いです。

 

解説の見せ方

 

今回の作品で感心したのが、劇中たびたび出てくる解説。ぶっちゃけこの時代の人物は血縁で名前も似たような人が多いし、ナレーションという音声だけで伝えられない情報に文字表示が加わると観ていてキャラクターやシチュエーションの把握がしやすくなり快適でした。

ただ、あまりにも親切すぎるため演出として見た時のダサさが倍増しています。

これをもっとスマートに見せられる演出があれば邦画……特に時代劇に見られる分かりにくさとダサさを軽減できると思うんですけどね。

 

役者と演技

 

寺田農さん(オタク的にはムスカの人)はさすがの貫禄。

谷村美月さん(キングカズマの中の人の中の人)リアリティ追及は分かるけどメイクがホラー。

でも今作のベストアクターはマスコットの猿だと思うのw

あと演技というよりキャスティングなのですが、上杉謙信が【天と地と】と同じく榎木孝明さんだったのは感慨深いです。

 

予算問題

 

やはり殺陣や血の演出を始めとした色々と残念な部分はあるのですが、これらは全て予算さえあればなんとかなる問題ではないでしょうか?

それでもセットや作法などに割り振っているのはじっくり見た時の本物感が上がっていいです。ただし比較的動きの静かな部分のリアリティを上げるために戦闘シーンなど動きの大きな目立つ部分の演出が散漫となってしまったので、結果的に目立つ部分でのリアリティが下がってしまった気もします。

いっそのこと、直接的な戦闘シーンなんて描かないといったような思い切った割り振りをしても良かったんじゃないかなぁ?本当に見せたい部分もそこではないでしょうし。

 

時代物の引き算の難しさ

 

やはり史実(甲陽軍鑑から読み取られた物)を再現するために物語の流れを再現するのにあまり必要でない人物も描く必要があったりするので、登場人物が膨大となる戦国絵巻や軍記ものの一場面を映画化するのは引き算が難しいみたいです。

実話では描きたい話の大筋以外にも生活する人や場面ごとに別の話が展開している物です。映画が目指すところは【全ての登場人物、演技が話を構成するための要素となる】ということですからね。

リアリティを突き詰めた時の無駄な登場人物は時代劇の足枷です。

 

総評

 

70/100点。ぶっちゃけ映画ではなく本で読めばいい作品だと思いました。かなり視覚に頼ることとなったこの作品とはだいぶ毛色が変わってしまうかもしれませんけどね。

それとやっぱり熊はいらなかったよね?猿はあんなに優秀なのに……