先週に引き続き、あつぎのえいがかんkikiに足を運びました。お目当ては【海の上のピアニスト イタリア完全版】です。

オリジナル版は1999年にTOHOシネマズ海老名で鑑賞しました。当時はそれほど映画を鑑賞していたわけではなかったのですが、ニュー・シネマ・パラダイスが好きでジュゼッペ・トルナトーレ監督の名前は憶えており、公開後すぐに観に行ったのを覚えています。

今日を逃すと2度と映画館のスクリーンで観られなくなりそうなので無事鑑賞できて一安心です。もともと古い作品なので感想というか長尺版の違いや印象について書き残そうと思います。

冗長

ストーリーの詳細が語られること自体は嬉しいのですが、ニュー・シネマ・パラダイスの通常版と完全版のような印象事態が大きく異なるような変化点はありませんでした。

上映時間が長くなってしまったことで観客が注目するべきポイントがぼやけてしまったり、注意力が散漫になってしまうというマイナスポイントの方が追加部分より大きいのが残念です。

1999年版の構成は本当によく考えられたものだったと改めて考えさせられましたね。現代のマックスのモノローグと昔の1900(※こんなんですが主人公の名前です)とのエピソードの行き来も必要最低限に抑えられて分かりやすくなっています。

これはイタリア完全版ではなく4Kデジタル修復版を鑑賞するべきだったかなぁ。

 

少女の父親とのエピソード

そんな中、唯一の見られてよかったエピソードがレコーディングの際に見かけるメラニー・ティエリー演じる少女の父親と1900が以前出会っていたエピソードがあったこと。

正直言って完全版という話を聞いた時点でこのエピソードがあることは予想できていました。

実際にこのエピソードが無くても20年前に劇場で鑑賞した人は【多分、1900は以前に少女の父親と出会っていたんだろうなぁ】という予感のようなものがあったと思うので通常版でカットされていても問題のないシーンだとは思うのですが、そこは【20年越しの答え合わせ】というヤツです。

ただ、このエピソードによって、少女との出会いの【ほんのひと時の逢瀬】という一瞬の特別感は薄れてしまいました。

あくまで通常版を鑑賞した人向けのシーン追加ですね。

 

総評

75/100点。

ずっと船内に隠れ潜んでいた1900の存在のホラー感は長尺でも拭い去ることができませんでした。

【この世界の(さらにいくつもの)片隅に】とは言わないまでも【T-34レジェンド・オブ・ウォー】ぐらいに説得力と整合性を併せ持った追加シーンだったらよかったんですけどね。