鑑賞情報

2019年 9月28日 8:20〜

TOHOシネマズ海老名 スクリーン2

E-12

事前にムビチケを購入しての鑑賞。ちょっと想像していた内容とは違ったのですが、なかなか興味深い内容でした。

ただ、基礎知識とか話を理解するための補助線の引き方など、普通に映画を観るだけでは分かり辛いポイントが多いのは少し残念に思います。

 

それでは感想です。

夢から覚める物語

個人的な意見ではあるのですが、この作品の見所を【夢と、その末路】だと思っています。主人公ヴィンセントはニューヨーク証券取引所とカンザスのデータセンターを一直線の専用回線を引いて他所より一瞬でも早い取り引き速度を追求することにより株取引で利益を出すことを目的にしています。

それが、儲けるための専用回線のはずなのに、いつの間にか工事自体が目的となってしまっているのです。

 

これは現実問題なのですが、手段自体が目的となった時、得てして本来の目的は達成されないものです。

 

それに気付くのは全てが終わった……夢から覚める時ですね。

 

そもそも専用回線を引くことを思いついた【直線】というキーワード自体、着想は夢でした。この作品を【夢から覚める物語】と考える所以です。

 

キャスト

主人公ヴィンセントのジェシー・アイゼンバーグはソーシャルネットワークのザッカーバーグとダブりすぎて二番煎じに思えてしまう。

技術者アントン役のアレクサンダー・スカルスガルドは役とはいえハゲになっていてびっくり。更にはハゲなのに主人公よりかっこいいことにもびっくりw

他のキャストは残念ながらあまり覚えがありません。

キャスティングで観る映画じゃないので問題ないでしょう。逆に言うと邦画もいつもの面子ではなく、こういったキャスティングが求められるのではないでしょうか?

 

本当に大切なこと

この映画の結論にして一番つまらない部分。

もう、この光ファイバー敷設工事にアーミッシュ(と思われる)人達が登場する時点で【このテクノロジーの時代に本当に大切なことを見つける】みたいな手垢にまみれたテーマが透けて見えて嫌になります。

 

そもそも、主人公は大儲けという目的が一直線の専用回線敷設自体に変わってしまった時点で、追い求めるべき【本当に大切なこと】に気付いているんじゃないでしょうか?

そこにテクノロジーを否定するアーミッシュを出されたところで方向性が違っていて説得力に欠けると思うんですよね。

 

映画のテーマには普遍性があるとは思うのですが、目的とテーマの方向性が異なっていると題材の選定ミスを疑います。

 

お気に入りシーン

そんなモヤモヤした作品の中で、アントンの仕掛けたトラップを発動させるシーンは唯一スカッとさせられました。

物語の序盤に仕掛ける場面の意図がリアルタイムでは把握できなかったので【こんな夜に家族の迷惑も顧みず優先する仕事って何なのだろう?】と思いつつも物語の進行で記憶から消えかけてから最高のタイミングで伏線が見事に回収されたのは心地よかったです。

これほど説得力のある【こんな事もあろうかと……】は初めてかも!

 

総評

60/100点。とはいえ良かった場面はその一点のみ……残念ながらそこまで【刺さる】部分はありませんでした。

やはりマイケル・ダグラスのウォール街のような個人の資質による株取引ではなく、コンピューターに任せて通信速度を追求するだけの物語では話をふくらませるのは難しかったのではないでしょうか?