鑑賞情報

2019年 9月23日 11:20〜

TOHOシネマズ小田原 スクリーン2

H-13

 

アド・アストラから続けて鑑賞。予告で見たセルルックの3Dキャラクター&セカイ系と思しきストーリーに若干の地雷臭を感じながらもムビチケ購入して上映を待っていました。

 

それでは感想です。

SF?

全体的にSFっぽく感じてしまうのですが、あくまで【っぽい】だけであって【サイエンス・フィクション】とは定義し辛いのが近未来の仮想現実モノの特徴だと思います。

タイムリープ物や仮想現実物のお約束を絡めつつセカイ系として仕上げてみたけど、スタイルの維持に手一杯でストーリー自体は物語の終着点に辿り着くための言い訳のようになってしまっているのが惜しいです。

 

まぁ、この作品世界自体が【結果があるから過程がある】という通常の時間軸とは逆の考え方ですからね。この理論を前提条件として物語の奥に隠れているのであればそれぞれの時間軸に集中できるのですが、主題として全面に出てしまっている時点で説明っぽくなってしまうのは仕方のないことなのかも。

 

キャッチコピー

【この物語(セカイ)は、ラスト1秒でひっくり返る――】……残念ながら、この作品を構成する小ネタを見続けていると、劇中でナオミ(未来の主人公)が気付く前にナオミの世界も外側の世界の記録ということに気付いてしまいます。

ひっくり返るというような大どんでん返しは特に感じなかったというのが正直なところです。

 

なんか、こういった作品に長く触れ続けた結果、どんどん作品を楽しむためのサプライズが無くなってきているのを感じます。こういったネタが好きな観客こそ、この作品を楽しむべきなのにねぇ。

キャラクター

セルルック3Dは作画の労力を減らしたりエフェクトとの親和性を高めるためにも必要だとは思うのだけど、影の部分をこれだけ修正するのであれば労力の軽減度は低いのかもしれませんね。

早いところ、より2D作画に近いトゥーンシェーディングが開発されるか、萌え絵として遜色のない3Dキャラを使ったアニメが作られればいいんですけど。

 

個人的には3Dキャラに過剰な演技をさせるのはあまり好きではないので、ポリゴン・ピクチュアズ作品より好感が持てます。なんというか細かい仕草まで全て演技させようとするのは止め絵の部分までフルアニメーションにするようなムダを感じるのです。この作品のキャラクターの仕草は適切と感じます。

 

声の演技

及第点は確保。まぁヒロインは棒なのですが、キャラクターがあれならば棒でも許されるのではないでしょうか?

北村匠海氏はアフレコ初体験ながらなかなかの演技で、ぼくらの7日間戦争にも期待が持てます。

松坂桃李氏はさすがの演技……ただ、主人公が北村匠海氏なので小栗旬氏でないことに違和感を感じるコアなファンがいるかも。

 

総評

60/100点。このジャンルに強い人は先が読めてしまうけど、あまり精通していない人にとっては話が難解すぎるという【伝えるべき観客の想定が甘かった】ことが最大の敗因ではないでしょうか?

 

セカイ系ということでPCゲームのDESIREのように【永遠のループで結末を作らない】という話にしたら古いオタクを唸らせることはできたかもしれないけど一般の観客の評価は急降下しそうなので、現時点よりもう少しだけ分かりやすい構成にするのが最適解だったんじゃないかな?

 

もしくは色々な時間軸のナオミが過去の同一の記録に干渉することによって偽りの記録を現実にするといった話にするとか。

 

いずれにせよ、こういったテーマの作品は供給過多な部分があるので新たな手法が発明されるまで同じような物語が量産されていくことになるのでしょうね。