2018年9月23日、TOHOシネマズ小田原で【若おかみは小学生!】を鑑賞してきました。

原作の児童小説は未読、TVアニメ版は全話視聴済みです(映画を鑑賞した日がTV版最終回の放送日でした)。

 

それでは感想です。

総集編にあらず

 

映画の公開がTV版の最終回に近いのですが、TV版のダイジェストというわけではなく独立した一個の作品として成り立っています。ボリューム的にもTV版の10分✕24話=240分(4時間)と上映時間94分(1時間34分)で半分弱ながらエピソードが減っただけで描写は繊細になり、物語を楽しむ満足度は上がっているので見劣りしません。

劇場版999のような満足感があります。

ストーリーの構成上、描かれているエピソード自体には重複もあるのですが、作画や演出(特にレイアウト)の違いで別物となっています。やっぱり劇場版は画作りが豪華ですね。

 

別れ

劇場版で特に感動したのが両親や幽霊たちとの【別れ】について。

TV版だとなんかいつの間にかに両親のこと吹っ切れちゃったのかな?なんて思っていたのですが、劇場版だと知らず知らずのうちに心の奥に刺さった棘のように残っていて、そこから立ち直る描写をしっかりと見せてくれたのが嬉しかったです。

 

幽霊たちとの別れもお涙頂戴ではなく、あくまで前向きなサヨナラでかえって目頭が熱くなります。この作品はこれ以上アニメ化することは無いとは思うけど、ここまでしっかりと描ききってくれれば、たとえ会えなくても作品世界のおっこたちはいつまでも元気に暮らしてくれると安心できます。

 

胸の前で腕をクロスして『花の湯フォーエバー!』と叫びたくなります(○○ガイだ……)。

 

唯一の疑問

作品自体は大満足なのですがたったひとつだけ疑問があります。

 

……なんでTVアニメと劇場アニメをほぼ同時進行で作ったんだろう?TVアニメの方も原作の児童文学に慣れ親しんだ子供たち向けの佳作で、このアニメを切っ掛けに書籍版にも興味を持ってもらえそうな出来栄えです。

 

それなのに、これを上回る出来の劇場版を見せられるとTV版の印象がぼやける気がするんですよね。

 

ドラえもんやコナン、ポケモンの劇場版とは意味合いが違うので劇場版の存在がTV版の足を引っ張ることに繋がりそうです。事実、個人的には【とりあえずアニメは劇場版だけでいいな】って思いましたし。

 

総評

70/100点。映画単品として見ると普通に良い作品で、ネガティブな面もないし自然と高得点になります。

ただ、【若おかみは小学生!】というコンテンツで見ると劇場版のクオリティがTV版の足を引っ張りますし、作品として完成しているだけに原作児童小説の完走(誤字ではなくて全巻読破という意味ね)を妨げてしまうかもしれません。

 

でも、いい作品なので多くの人に見てもらいたいですね。親御さんが子供を映画に連れてくると作品に退屈してしまうことはよくあると思いますが、この作品なら大人でも子供と一緒に楽しめると思いますよ。