2018年2月1日、イオンシネマ海老名にて【西遊記 ヒーロー・イズ・バック】を鑑賞しました。翌日で上映終了だったので優先してチケットを取ったのですが……
それでは感想です。
誰に何を見せたい作品なのか?
この作品、ジャンルで言うと【痛快娯楽活劇アニメ】といったところでしょうか?
ただ、話も唐突なら経過もあやふや……『監督はどういった層を観客として設定して、何を伝えたいのかなぁ?』などと考えてしまいました。
少なくとも自分には伝わってこない……多分、観客としてターゲットに選ばれていないんでしょうね。
自分が世間一般の成人男性の平均値とはいいませんが、ファンがアニメ作品に対する評価についての感覚としては割と一般的であると認識しています。
自分と同じく、日本の成人男性のアニメファンは、【なんか雑な作品】という印象を受けるのではないでしょうか?
日本人と中国人による西遊記のイメージの違い
ドラゴンボール、ドリフの西遊記、スタージンガー……昔から日本人は最遊記を題材とした作品を多く目にしています。
でも、だからこそ本家本元の【西遊記】原作のイメージがボヤけてしまっているのです。
たとえば作品の主役は孫悟空ですが、日本人の場合【三蔵法師の供をするメンバーのリーダー的存在】という捉え方をしてしまいがちで、【旅のパーティーで一個の主役】と考えてしまうのかもしれません。三蔵法師的キャラが小坊主?沙悟浄いないの?などの違和感が付き纏います。
でも、沙悟浄=河童っていうこと自体が日本人の思い込みと勘違いで、原作では【流砂に住み人を襲う妖怪】ですからw
二次作品で得た知識をもって原作を知っていると考えるのは間違いもいいところ……真田丸を見て歴史を理解すると考えるどころか、恋姫無双をプレイして三国志のストーリー展開を知っていると思うくらいの暴挙ではないでしょうか?
そもそも中国では斉天大聖(=孫悟空)個人が圧倒的な主人公です。彼のキャラクターが立ちすぎているんですよね。DCコミックにおけるスーパーマンのような存在。
下手に中途半端な知識で孫悟空を知ってしまっているからこそ、この作品を見て『西遊記?』という感想を抱いてしまうのではないのでしょうか?
自分もそんな一人です。
割といいかげんな脚本
キャラクターをかっこよく見せようとするアクションは凝っているのですが、とにかくストーリーがいいかげんです。これは多くの日本的アニメを見てきたせいで自分の感性が【話に理由付けを求める】からなのでしょうか?
とてもそれだけとは思えません。
斉天大聖というビッグネームをキチンと理解していない日本人には彼の行動原理を察することは難しいです。
『斉天大聖ならこんな風に考える』とか『斉天大聖ならこんなときはこういった行動を取るだろう』というのは中国人だからこそ納得できることであって、作品中で描いてもらわないと観ていて伝わってきません。
このキャラクターを理解してもらう部分の省略がいいかげんな脚本につながってしまったのかもしれませんね。
総評
自分は日本人でアニメオタクなので、このジャンルの共通意識である【お約束】とかは察することができるのですが、一般的な作品となると評価が厳しくなるというか曖昧な部分を許さなくなる傾向があるようです。
以前観たCGアニメーションで一般向けな映画で言うと【ルドルフとイッパイアッテナ】くらいキッチリと作ってもらえないと観ていて文句が出てしまいます。
残念ながら、思い入れのないこの作品にそれほどの良さは見い出せませんでした。
アニメーション自体は演出はよくある感じなのは仕様がないとして丁寧な作りなのは評価できるので、今度は内容にも気を配った作品が観てみたいなぁ、と思います。
また、この作品は2015年公開作品なのですが日本でのイベント以外での上映は2018年になってからです。
【最近、中国のアニメが力をつけてきて日本もうかうかしていられない】といった文章を読んでこの作品に興味を持ったのに最新の中国アニメに触れられなかったのは残念です。
中国の最新ヒットアニメをどんどん日本のアニメファンの目に触れられるような機会が欲しいですね。