2020年、24本目の鑑賞作品。ネットでの事前座席予約ではなく、窓口で座席購入した作品なので鑑賞記録が残っていません。

鑑賞した新宿シネマカリテはムビチケだと窓口のみでの取り扱いなので半券を無くすとこういうことになります。

 

それでは感想です。

 

真の意味で日本人には理解し辛い映画

俯瞰で広角レンズの視点、沈んだ色調のルックが否応なく作品世界への没入感を高めてくれているので動きを追うタイプの狩猟民族にはキツいかもしれませんが、私が静かな変化を見守ることのできる農耕民族であるからなのか3時間もある上映時間も目をそらすことなく鑑賞することができました。

それでも、本当の意味での理解は【信仰心のない日本人には決して理解出来ないものだな】とも思いました。

 

戦時下では聖職者である司祭ですら、ある種の諦めと妥協を薦めているというのに、主人公は信念を曲げず一人静かに抵抗します。

でも、これを【敬虔である】とか【強い意志】なんていう風な称え方をする以前に、【それって残してきた家族より大切なモノなの?】という素朴な疑問が残ってしまうのです。

 

美しい風景や閉ざされた監獄の中での辛い描写が反復して続くので尚更ね。

 

最終的に主人公は徴兵を拒み処刑されるし、村からは批判され、残された家族の生活は1950年まで年金が認められなかったこともあり過酷な物だったでしょう。彼が評価されるには長い年月を必要としました。詳しくはWikipediaの【フランツ・イェーガーシュテッター】を読んでください。

 

総評

75/100点。そこまで内容と主人公の行動に共感が出来ないのに評価せざるを得ない名作。

教養という意味でも一度は観ておきたい作品です。