鑑賞情報

2019年 11月3日 10:55〜

TOHOシネマズ海老名 スクリーン3

E-10

11月最初の鑑賞にして無料鑑賞3本目はジョーカーです。【アカデミー賞は確実】とまで言われる注目作ですが結果は?

 

それでは感想です。

 

ジョーカー誕生の物語……なんだけど

 

社会的弱者であり、【勝手に笑い出してしまう】という病気を持つアーサーが【人に笑われる】ピエロから【人を笑わせる】コメディアンを目指し、最終的には【世界を笑ってやる】悪役になる(であろう)お話。

 

この作品に【こんなことがあれば社会的弱者だってジョーカーになるだろうよ】という共感を覚える人もいるかとは思いますが、監督が本当に伝えたかったことってそういった部分なのかなぁ?とか疑っています。

 

純粋にひとつの【切っ掛け】として読み取る

 

これまで実写版のバットマンに登場してきたジョーカーを演じる役者が偉大なため、今作でホアキン・フェニックスが演じるアーサー・フレックに対しては【こんなチンケな男がジョーカーであって欲しくない】という想いがあることは認めます。

 

あくまで今作のジョーカーが後のジョーカー本人ではなく、ジョーカー誕生の切っ掛けとなるイベント(ゴッサムシティの暴動)として受け取っているということです。暴動の中で今作のジョーカーに賛同してピエロの面を被った人物の中のいずれかに後のジョーカーがいたのではないか?という解釈ですね。

ホアキン・フェニックス自身は【本人である】という認識なのだそうだけど、自身で演じたキャラクターということで思い入れもあるだろうし、作中の逝っちゃっているいるアーサーの認識と考えると【本当にそうなの?オマエの妄想なんじゃないの?】とも考えられます。

 

卑怯な表現&新解釈

 

卑怯というかちょっとズルいな……と思ったのが、リアリティの出し方。

史実の出来事を交えたり同時代の映画のオマージュを入れたりするのはまぁ許せるとして、ヒーローに関係する映画にヒーローを出さないことでリアリティを出すというのはバットマンという世界観を表現するうえで搦手というか反則に思えてくるんですよね。

 

そりゃ全身スーツのキャラクターとか出さなければ現実感も増すだろうよw

 

渋い色合いのキャプテンアメリカに赤パンツを脱いだスーパーマン……スーパーヒーローの映画化で主人公をリアル方向に寄せてくるのはよくあることですが、今後はアメコミ要素を極限まで排したヒーローキャラクターも増えるかもしれませんね。パニッシャーまで行ってしまうとヒーロー映画の楽しみとしては減りそうですが。

 

 

一方、バットマン=ブルース・ウェインの父親トーマスの解釈は唸らされました。

今作では真実を観客に委ねられてはいたけれど、ジョーカーに【バットマンの認知されなかった異母兄弟】という可能性を持たせたのは凄いことです。これならジョーカーにバットマン最大の敵である理由付けにも成り得ますからね。

 

この父と弟への怨念が真実であればアーサーがジョーカーであっても許されるかもしれません。

 

総評

 

80/100点。悔しいけど面白い。少なくともエイリアンの誕生物語としてプロメテウス見せられるより遥かに幸せな時間を過ごせました。

 

でもやっぱり、この作品からバットマンに繋がるとは思えない点はマイナスポイントですね。あくまで今作限りで完結している物語として受け取ることが出来たら与えられる評価です。