鑑賞情報

2019年 9月28日 11:05〜

TOHOシネマズ海老名 スクリーン3

E-11

 

ハミングバード・プロジェクト鑑賞後、近くのフードコートで燃料を補給して2本目のヘルボーイに挑みました。

それでは感想です。

 

リブートとコンテンツへの過信

この作品ははアメコミ発の映画ですが、もともと2004年と2008年にギレルモ・デル・トロ監督で映画化されています。

私はデル・トロ版が好きなので監督が構想してた3部作を楽しみにしていたのですが、結局2作で終了してしまいました。

 

今回の映画が正当な続編なのか完全新作なのかは詳しく調べていなかったのですが、どうやらリブートという位置づけのようです。

 

ただ、新規の観客に不誠実なのは、【シリーズ一作目であるにもかかわらず続編のようなストーリー】という所でしょう。

 

ただ、これが許されるのはスパイダーマンやバットマンといった誰もが知る国民的(アメリカの話ねw)キャラクターだけだと思うのです。スパイダーマン:ホームカミングの感想で、こう書きました。

 

もう前置きはいらない

蜘蛛に噛まれる→特殊能力獲得→調子に乗る→おじさんが殺される→改心→ヒーロー誕生

……スパイダーマンの物語が始まるたびに繰り返される、この一連の出来事を今作ではスッパリとカットしています。ぶっちゃけ映画のシリーズもこれで3回目ですし、この展開を毎回見せられるのも飽きるのでコレでいいと思います。

バットマンなんて、ブルース・ウェインの幼少時のエピソード何回見せられたよ?

 

残念ながらヘルボーイには、そこまでコンテンツに力がないと思うのです。

今回のように前提条件をすっ飛ばして物語を始めるのは、制作陣がヘルボーイに対して過信しているからではないのでしょうか?

 

キャラクター

ヘルボーイはデル・トロ版とキャラクターの味付けが異なるので違和感があります。【今作は原作者の監修があるからこちらの方が正式版】といってしまえばそれまでなのですが、それならヘルボーイの誕生物語として、完全に一から物語を開始するべきだと思うのです。

まぁこれはモンキー・パンチ原作のルパンはTV版やカリオストロの城のルパンと比べると違和感があるといっているようなものですね。

 

父親はいい感じなんだけど、幼いヘルボーイを保護した理由など時間的に掘り下げが足りていません。

 

ブラッドクィーン役のミラ・ジョヴォヴィッチは良かったと思いますけど、これは他の役者に比べて知名度があるとか演技が云々ということではなく、1回きりのヴィランとして必要な仕事がこなせていれば得られる正当な評価なのだと思います。

 

……ヒロイン?そういったものがクローズアップされる作品じゃないからなぁ。

 

脚本

なんというか全体的に雑。脚本の【これぐらい知っているだろ?】のさじ加減が場面によって異なるので、【原作、前作、新規】というどのレベルのファンの対象にもならない作りになっています。

 

あと、続編制作を前提とした脚本と演出はどうなんでしょう?日本の新人漫画家のように連載が安定するまでは長編シリーズではなく短編読み切りエピソードを積み重ねて人気の獲得に努めるじゃないですか?

 

この一本でリブート失敗して続編の可能性が断たれる危険もあることだし、これ一本で最初からしっかりと物語を描ききってほしかったです。

 

演出

個人的にゴア表現は好きではないのですが、作品世界を表現するにあたって必要なことでしたら受け入れます。

どちらかというと先にも書いたように観客の作品に対する知識の深度を考えないことから生まれる演出のブレの方が気になりました。

 

いったいこの作品はどんな人に観てほしくて作ったの?

 

総評

50/100点。なんというかデル・トロは偉大だったということでしょうか?

ただ、リブートならリブートらしく物語の幕開けらしい脚本ならいくらでも面白くなったと思うと今回のストーリーには最後まで疑問が残ります。