鑑賞情報

2019 09/01 10:55〜

TOHOシネマズ小田原 スクリーン7

E-12

 

以前から【10本撮ったら映画監督を辞める】といっていたタランティーノ監督の9本目の作品、【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド】を鑑賞しました。

絵柄が2種類あるということでムビチケも2枚購入したのですが、9月は新作映画が多いのでもう1回観に行く時間が取れるか厳しいです。

 

それでは感想です。

想像以上に【やさしい】映画

鑑賞前は、当時ハリウッドで起こった悲劇に関わる出来事を描いた作品ということで、ラストは悲劇的な内容になるかと思われたのですが、タランティーノ監督は史実を改変して【シャロン・テート生存ルート】という脚本を採用しました。

正直言ってタランティーノ監督は我が強いうえに女性蔑視と思われるようなところもある人物なのですが、この作品では史実では悲劇的な最後を遂げたシャロン・テートに対し、未来に繋がる素敵なラストシーンをプレゼントしました。

映画公開当初はネタバレ厳禁とされていたのですが、この展開なら納得です。自分も含めてこの事件に対しての思い入れのような物を持っている人は多くないと思いますけど、今なお関係者の心に棘のように残っている事件を【無かったことにする】というのは決してご都合主義なんかではないと思うんですよね。

 

これがタランティーノが望んだ【ハリウッドの真実】なのでしょう。

 

キャスト

ディカプリオ&ブラピは流石の演技と存在感なのですが、逆にこの2人だけに注目してしまうと途端に映画が薄っぺらく感じられてしまうので注意が必要です。

リック・ダルトンとクリフ・ブースは主役ではありますが、ハリウッドにとってはとても中心人物といえる存在ではないですからね。

 

むしろハリウッドにとってはシャロン・テートの方がよほど重要人物ですね。マーゴット・ロビーの演技は最高でした……自分の作品を映画館で観る場面は、この作品の中でも最高のシーンだと思うのですがラストシーンまでは【悲劇の前の一欠片の幸せ】かと思って胃がキリキリしましたよ。

 

歴史改変

ラスト前の史実に逆らった襲撃シーンは残酷描写もありましたが伏線回収の巧みさもあってスッキリさせてもらえました。

心配していた悲劇も回避されてやっと一安心できましたしね。

 

個人的には襲撃者撃退後のリックが隣人であるロマン・ポランスキーとシャロン・テートと知り合いとなるラストシーンが最高に幸せでうれしいです。

正直いって落ち目の俳優であるリックは、上り調子のポランスキー夫妻に苦手意識を持っていたと思うのです。

ところが実際に話してみると彼らはリックのファンで想像以上にリスペクトしてくれているのです。

 

このラストの後、引っ越しを考えているリックだったけど、もしかしたらこれを切っ掛けに【もう少し頑張ってみようか?】とか考えてくれたらうれしいですね。

 

総評

70/100点。内容的には最高なんですが、ちょっとダレる場面があったのが残念。公開版はもっと大胆に編集して、ソフト版で今回の編集を収録したら2度楽しめたんじゃないかなぁ?

 

あと、ブルース・リーとのくだりで批判的な意見も見られますが、個人的には【彼にもそういった部分があったかもしれない】という可能性をある程度の説得力をもって表現できた時点でアリだと思います。体格も小さく近眼のブルース・リーには実戦での実力に疑問が残る部分もありますからね。